Re:A|リア:リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士など)・看護師など医療従事者にむけた情報発信ブログ

Re:A|リア:リハ専門職(理学療法士・作業療法士など)・看護師など医療従事者にむけた情報発信ブログ

Re:A(リア)は医療専門職(理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門職や看護師等にむけた情報発信をするブログです。治療・評価・アセスメントなど日々の臨床での悩み事に対する解決や医学的知識・技術の情報などを発信します。

認知症者が徘徊して行方不明になった時の探し方(家族指導)

日本における認知症高齢者人口の将来推計に関する研究(2015,二宮)の各年齢の認知症有病率が上昇する場合の将来推計では2025年には730万人に上り、高齢者の約5人に1人が認知症を有すと言われています。

 

f:id:reaseminar:20170522201634j:plain

 

万が一、自分のご家族が認知症による徘徊で行方不明になったら・・・

 

担当している患者様が行方不明になったら・・・

 

サービスを利用している利用者様が行方不明になったら・・・

 

気が気でないと思います。

 

f:id:reaseminar:20170522201914j:plain

 

何よりも、最も居ても立っても居られないのはご家族です。

担当患者様・利用者様がもし行方不明になったらご家族の心情を察することができると思います。

ご家族様からすればその方は大切な家族です。

発見されるまでは生きた心地がしないと思います。

 

もし患者様が退院するときや、サービス利用者様が認知症を有し行方不明になるリスクがあるときは家族指導として対処法を指導する必要があるかと思います。

その対処法をステップごとに紹介します。

 

 

【ステップ1】

まず始めに心掛けてもらうことが

家族だけでは捜索しない

ことです。

 f:id:reaseminar:20170522200157j:plain

 

・家族のことなので家族で解決したい

・声を掛けてすぐに見つかったら恥ずかしい

・地域の目が気になる

など遠慮してしまいがちになりますが

 

行方不明は一刻を争う事態です。

 

地域の中にいる以上、気になるお気持ちは分かります。

時間を設け、例えば15分探してみていなかった場合は協力を仰ぐと、時間を決めることで連絡をする節目を設定し連絡を促すことはいかがでしょうか。

 

行方不明の捜索は

連絡の遅れが生存率に関わってきます。

発見が遅くなり亡くなっていた・・と後悔してしまうケースも実際にあり得ます。

 

桜美林大老年学総合研究所の鈴木隆雄らの調査では生存者は行方不明5日目以降ではいなかったとの報告もあります。

 

また軽度の認知症でも注意は必要です。

亡くなった方の4割以上が軽度認知症者だったそうです。

 

そして徘徊中の発見は家族や捜索関係者以外が半数を占めたとの報告もあり、地域社会の協力が早期発見につながる鍵になるようです。

 

 【ステップ2:関係各所に連絡をする 】 

お住まいの地域によっては徘徊SOSネットワークでの見守り事業があるかもしれません。

市町村への問い合わせなど事前に情報を仕入れる必要があります。

 

地域に協力を求める場合の連絡先

・110番

・ケアマネージャー

担当のケアマネージャーがいる場合は連絡を入れる促しをしてください。

関係各所に連絡をしてくれたり、アドバイスをもらえるかもしれません。

・お住いの地域の地域包括支援センター

普段からいざという時にすぐに連絡をできるようにすることが大切です。

・自治会・町内会

消防団

市町村によっては無線放送で行方不明者の呼びかけをしてくれるところもあります。

・公共交通機関(バス・電車・タクシー)

 f:id:reaseminar:20170522202842j:plain

連絡をする際には行方不明者の見た目や特徴などを併せて伝えるようにしてください。

①氏名

②服装

③身長

④体型

⑤髪型

上記を伝えることでよりスムーズに捜索が行えます。

 

 

【ステップ3:捜索】

関係各所へ通報したらご家族も捜索にあたるかと思います。

ただ闇雲に探すのではなく、以下の2点にポイントを置いて探すことをおすすめします。

 

f:id:reaseminar:20170522204508j:plain

・なじみのある場所

よく散歩する公園・いつも買い物に行くスーパー、友達・親戚の家など、心当たりのある場所を探します。

一緒に住まわれていないご家族にはケアマネージャーや近所の人へ聞くことを勧めてください。

 

f:id:reaseminar:20170522203543j:plain 

・まさかと思う場所

発見される場所で最も多いのは「路上」ですが、まさかこんなところに・・と思う場所で発見されるケースもあります。

例えば道路脇の側溝の中で転倒をされていたり、近所の人の庭に入っていたり・・・

認知症による遂行機能の低下が、迷っているうちに入り込んでしまったところから出られなくなったことに影響しているのではと推察されます。

 

【ステップ4:健康状態の確認

発見後はまずは

健康状態の確認

が必要です。

沢山歩いて疲労感を感じている方や、転倒により外傷を患っている可能性もあります。

また季節によって熱中症の危険もあります。

f:id:reaseminar:20170522204112j:plain

 

そして行方不明になって発見された時に認知症の人を

叱ったりしないでください。

さらに症状が悪化する可能性があります・・・

徘徊は何か目的があって行動した結果です。

ご家族は心に寄り添うよう意識して接することが、徘徊の対応として一番大切なことです。

 

【まとめ】

今回は行方不明になった時のことを想定してこの記事を書きました。

 

しかし、実際には行方不明になる前に

未然に防ぐこと

が大切です。

そのためには日ごろからあいさつをしたり、認知症カフェなど地域の催し物に参加したり、地域住民や家族との顔を合わせる機会や声掛けをする習慣作りをする必要があります。

セラピストなどの医療従事者はご家族様が分からない情報を知っていることがよくあります。

何気ないことでも、ご家族様に日ごろから積極的に情報を投げかけましょう。

 

その他、参考にご確認ください。

「平成27年度愛知県における認知症高齢者の徘徊に関する実態調査について」

 

f:id:reaseminar:20170517214941p:plain

6月25日(日)

10:00~16:00(9:30受付開始)

ブリーゼプラザ(JR大阪駅桜橋口より徒歩5分)

Pain ~知覚と感覚モダリティ~

池澤秀起先生

お申込みはこちら